幼児への接し方について

「やりたくない」「帰りたい」という子どもへの対応方法

 

レッスン前から「やりたくない」「帰りたい」と言ってなかなか聞かない生徒さんに対してどう対応したら良いか、というご質問を頂いたので、僕の考えを記したいと思います。

 

何もかも嫌だ、とかやりたくないというお子さんの対処法はすごく繊細なことで、難しい問題です。

なぜなら、その子の性格や生活環境・状況、どう育ってきたのか、一時的な感情なのかそうではないのか、本当にそう思ってるのか何かのサインで言ってるだけなのか、そして一番は今まで築き上げてきた生徒と先生の関係性によっても対応のベストは変わってくるので、よく見極めて言動するのが大事だからです。

親御さんが部屋に入るか入らないか、入らない方がよく取り組むししっかり話せる子なのかその逆なのか、なども関係しますね!

 

僕は大まかには、

①同じ方向を見る

②寄り添う

③突き放す(突き放すフリ)

の3パターンを意識しています。

 

 

①同じ方向を見る

①は、「えーーやりたくないの?辞めたいの?それは悲しいなぁ」「今日はどうしてやりたくないのかな?」とあくまで先生目線で感想を述べたりその理由を探ったり「じゃあいつもとは全く違うもっと楽しいことをやってみようか」など提案したりするパターンです。

 

 

②寄り添う

②は同じ目線で考えてあげる。例えば「そうだよね、嫌だね、辞めたいよね。今は何が一番したいんだっけ…そっか、公園で遊びたいんだったね。でも今はこのお部屋で過ごさないといけないし、先生が(ママが)先生の言うことをよく聞いてねって言ってたからそれを守るんだった。何か音楽しよっか」など、共感してあげたり心の声を代弁してあげたりしながら少しずつ誘導していくパターンです。

 

①と②は、少し似ていますが、個人的には目線とか立場が違う(①は生徒と自分が→←、②は→→ってイメージ)という感覚で、ある程度関係性が築かれている場合は①を、まだ内面や普段の状況が分からない時や様子を見て反応を伺いたい時は②を使う時が多いです。

 

また、丁度このご相談を受ける2日前に、僕の小4の生徒さんで同じように「やりたくない、今すぐ帰りたい」とレッスン前から言ってきた子がいて、その時は①②の中間のような対応をしました。

原因は勉強や学校でのストレスと空腹だったんですが、なんとか1回渋々演奏して、その時にちょっと間違えたのも更にイライラしたのか演奏後に「もう絶対やらない、帰る」と言ってました。逆にやる気に満ち溢れて頑張りまくる日もある子なんですけどね😅

その時に僕が言ったのは、「気持ちは分かるけど、そういう状況の時に自分の心に打ち勝つかどうかってのがこれからの成長に関係してくるよ。今勝てたらぐんと成長できるし負けてしまったら前へは進めないよね。間違えることは大事だと思うから間違えること自体は負けじゃないけど、そうした時に前を向くことを諦めてしまったらその時が負けだよ」という内容です。

その言葉がきっかけで、ちょっと拗ねながらですが最後まで取り組んでくれました。もちろん、やり切ったことと疲れてて更に空腹の中で頑張ったことはたくさん褒めてあげました。

普段から浮き沈みも激しい子だけど、年数も長いし信頼関係もきっと築けているであろうと感じてるからこその発言ですが(親御さんも同室してます)、打たれ弱い子や信頼関係がまだ弱いなという段階では逆効果な言葉になり得ますよね。

なので、①②のどれをどういう言動で使うのかは慎重に分けています。

 

 

③突き放す(突き放すフリ)

③は、①②が効かなかった時の手段で、種類はいくつかあると思うけど、

・「先生やママとのお約束が守れないなら、できません!もう終わります」と突き放しつつ取り組む方向へと結びつける

・「これじゃあ先生もつまらないし皆が嫌な気持ちになるわ」「お金払ってくれてる(応援してくれてる)パパやママも悲しいと思うし申し訳ないね」と先生や親御さんの気持ちを伝えて罪悪感を与えつつ取り組む方向へ結びつける

僕はこの2つを使います。

 

これも丁度ご相談のあった少し前に年少の子のレッスンで似ている状況になった時があって、その時は前者を使ってみました。

5分もしないうちに「もう終わるわ」といつもなら言わない低い声のトーンと怒っている表情で言っても、ドアへ向かってお部屋を出ていく様子はなかったのでさすがにマズいと思ったのか怖かったのかはわかりませんが、ちょっとその子が涙目になってたので「やるなら始めるよ!やらないなら出てもいいよ」と声をかけ適当なピアノ効果音を鳴らしたらその子も音を出してくれ、段々楽しくなってきたようで途中からいつもの笑顔に戻ってくれました。

 

ちなみに「やらないなら先生が(お母さんが)代わりにやっちゃおうかな」って選択肢もありますが、それで効果のあるケースは稀な気がします笑

 

 

まとめ

「こういう時はこうするといい」というアドバイスが書いてある著書や保育士Youtuberの動画はたくさんありますが、傾向はパターン化されていても個人差が大きいためそれが通用することは少ないと思った方が良いです。

僕も、今でこそどんな子がどんなパターンで来ても最終的には上手く進められる自信はありますが、これまでの失敗の数は正直めちゃめちゃ多いです😅

なので、対応法は理論も大事だけどそれよりも自分の経験に基づいた嗅覚と瞬発力が一番大事だなと感じてます。

また、先生側のキャラクターや考え方などによっても大きく変わります。

僕はキャラクターを相手によって変えていて、人によっては熱血体育会系にもなれますし下から謙虚に振る舞う対応もできるので、その辺を生徒によって・状況によって自分のキャラをコントロールしてます。ただし、困惑させないためにキャラ切り替えの方針はブレないように気を付けてはいます。

 

人それぞれなので、参考程度になればなと思いますが、基本はこの3つであることを覚えていただけるともしもの時に役立つかもしれません。

 

また何かありましたら、いつでもご相談ください!