皆さんは、発表会に向けて生徒さんにどのようにアプローチをしていますか?
今回は、発表会を何回も重ねてきて感じてきた良いアプローチ方法の一部をシェアします。
ある程度は練習を頑張る人向けの内容です。
「発表会楽しみ!」という人もいる中で「発表会に出たいような出たくないような…」「不安!」という人ももしかしたらいらっしゃるかもしれませんね。
その理由の多くは「失敗したら嫌だから」「緊張するから」などの不安や自信の無さからくるものかと思います。
緊張する人はそれを防ぐのはなかなか難しいですが、失敗を恐れたり「間違えたくない」という気持ちが先行してしまうのはなんだか嫌ですよね。
僕は、「失敗することを恐れる」のではなく、「万が一予定通りとは違う演奏になっても怖くない」気持ちを普段のレッスンから持たせる工夫をします。
そうすると少しは自信を持って演奏できるようになるので、「不安だなぁ嫌だなぁ」と言っていた大体の子が「本番楽しみ」と言ってくれるようになります。
これは、心の持ち方でカバーしよう!というアプローチでも可能ですが、演奏技術を練習方法の工夫で補うことでしっかり解決できます。
ざっくりな解説です。
間違えたら止まって演奏し直しちゃう人っていませんか?そうすると失敗しちゃった感が強く、それが恥ずかしいと思ってしまう子もいます。
「失敗は大事だよ!恥ずかしくないからどんどん間違えていいんだよ!」という言葉でポジティブになってくれるなら教える方も簡単ですが、そうじゃない人も多いです。
なので、まずは普段の練習から「特に通す時は間違えてもとにかく止まらず続ける」という癖をつけます。
これは積み重ねないといきなりは意外とできないので「普段から」が大事です。
その癖がつくと、失敗することを恐れずポジティブに演奏できるようになってきます。
そういう演奏ができるようになると気持ちにも余裕が出てきて楽しんだり、どんどん強い気持ちも育っていきます。
そんな連鎖を生んでいきましょう!
僕の場合は、
「通す練習(部分的に通す、の場合も)」と「部分練習」とで意識を変えてもらいます。
通す練習の時はとにかく間違えても引きずらずに気持ちも音も常に先へと進みます。最後までやり切りゴールまで進むことが大切です。
テンポが一定のまま進められればベストですね。
良い言い方をすると「ミスを極力ミスに聴こえさせない技術」「繋げ上手」!
微妙な言い方をすると「誤魔化し上手」ですね!
難しいところや間違えやすいところは後から「部分練習」すればいいんです。或いは全体をもっとゆっくり通してみるか、ですね。
※ゆっくり演奏してもらう時は「この速さだったらできるかな、というテンポで演奏しましょう。そのテンポを自分で見極められるように」と言います。
それでチャレンジしてもらうと大体の場合は、こちらが思うテンポよりも速く演奏してまた間違えるので「自分が思った以上にゆっくりくらいが丁度良いよ」と言います。
そういう練習をレッスン内や自宅で続けると、繋げることが上手になるし、部分練習によってミスも大分減ります。
それでも上達しない場合は、こちらの伝え方が甘いか、技量に合ったアレンジを提供しなかったというミスか、練習不足であるなら練習したくなるような導き方ができなかった、
或いはその他に原因があるかもしれませんが…。
大体はこちらのレッスンスキル(上達するための指導方法、気持ちの誘導や成長に繋げさせる技術)でカバーできると思っています。
また、気持ちの持っていき方の一つの例として、
「常に小さな目標を持たせる」
「練習の時は自分は世界一下手だと思って取り組む、本番の時は世界一上手だと思って堂々と挑む」
「“否定の打ち消し”は使わないように。例:「指番号を間違えないようにしよう」ではなく「正しい指番号で弾こう」。 「間違え…」の時点で多くの人は無意識に間違えるイメージをしてしまうから、失敗率が上がる。正しいイメージを持たせることで意識の仕方が自然と変わり、成功率がかなり上がります(ちょっとした言葉がけの違いが大きな違いとなります)。」
などなど、他にも色々あります。
ここまで長々と書きましたが、もちろん「上手な演奏を目指す」ことは目的の例のひとつであって、全員がそういう目的で出演する訳ではないです。
僕の生徒さんの中にも(大人ですが)、演奏はボロボロだけど「先生、もうこれくらいの出来で十分だわ~!出ることに意味があるんだでこれ以上上手くならんでいいでさ、別の曲も練習しよまい!」という方もいます。
プロではないので、「自分達が良ければ良し!自分よがりな演奏でいいんです」「下手でもこういう経験すること自体が財産」という目的の生徒さんも多いですからね。
そういう目的意識のシェアも含めて、「生徒さんと向き合う」というより「生徒さんと同じ方向を向く」という意識でレッスンしてみるといかがでしょうか。
以上、ほんの一例ですが、発表会シーズンの対応例でした!